内に秘めた人々の精神世界を、自然界の森羅万象に投影し表現してきた後藤温子。
これまで主に青で彩られた後藤の精神世界は、人知れぬ心の醜さを覗かせつつも、美しく安らかな領域が描かれてきた。
今回の個展は「祈り 呪い」と題し、何かを願い念じるうちに、人の心の中に生じてしまう様々な情念を美しく取り上げる。
理想を願うあまり心にはらむ敵意や憎悪。願いを叶える為に付きまとう犠牲。
人々はそれを炎で供養したり清めたりしてきた。
現代においてはネット上の講義の殺到を炎上と呼ぶが、人の同情や正義感が情念となって、まるで炎のように広がり怪物の如く一人歩きする現象は歴史上いつの時代にも生じており、悲しくも善悪を逆転させ哀れな犠牲者を出してきた。
自分や誰かの幸福を願う慈愛が操る無意識の精神世界。ぜひご高覧ください。
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