17 歳の初個展から半世紀を経たいま、高校時代に現代美術との出会いとなった〈具体〉に飛び込んだ私にとっての大学は"具体大学"ということができる。その最初期である 1964 年から数年あまり制作した白いレリーフ状の造形と、〈具体〉解散後に続く 1970 年代の作品を一部並べることになった今回の個展は、美術家としての初心をみつめなおす機会にとどまらず、私自身の現在位置を見定める点で意義あることかもしれない。
このたびの作品をはじめ、近年過去の自作を整理していて気付くのは、これまで物質的な非造形、光、音、写真、ビデオなどメディアや方法も多岐にわたって大きく変化しているように見えながら、私自身の関心ごとや癖を含め表現のコンセプトの変わらない共通点が自覚できたことである。破棄したり行方不明の旧作も少なくないものの、そこから記憶がよみがえるなかで新たな発見があることがおもしろい。
しばらくは、自らのこれまでの歩みのなかから見えてくる、やり尽くせなかったところや、現在と関わり交わる問題意識を改めて探ってみたいと思っている。(いまい・のりお)
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