児玉画廊(京都)では、5月10日より6月14日まで貴志真生也「調節方法 (1)見つけるためのダウジング (2)保持するための雪吊 (3)処理するための活け締め」を下記の通り開催致します。
貴志は、インスタレーションおよび立体作品を主に制作していますが、その作品は彫刻的な立体感/量感の掴み方とはおよそ対極的で、機械的にすら思えるシンプルな構造、ブルーシートや発泡スチロール、製材された規格木材等の素材による独特の軽やかさがあります。これまで、メゾン・エルメス(銀座)のウィンドーディスプレイ(2011)や国立国際美術館「リアル・ジャパネスク」展(2012)など多数の展示、企画に参加し、いずれも鑑賞者の作品解釈に対して、いとも簡単にその予定調和を粉砕するアプローチに大きな注目が集まりました。
貴志の作品には概して、「造形に具体的な表象が見られない」「構造の規模に比して量感を伴わない」「某かの装置を思わせるが無目的である」「複雑に見えて極力加工や造作に対して抑制的である」といったいくつかの傾向が見られます。一見無味乾燥としたまるで取りつく島の無いような作品ではありますが、これらの視座から作品を読み解くことによって、貴志の作品を理解する一歩を踏み出すことはできます。
主題の「調節方法」とは文字通り、貴志のその制作に対する態度を表しているのでしょう。そして主題に連なる「ダウジング」「雪吊」「活け締め」という三つの項目は、それぞれその「整える」という制作態度を示す補足材料として示されています。
今回の個展では、まずマケット的な規模の構成物を作った上で、次にそれを基に構造的なスケールを拡張したものを制作し、その大小の作品を対比的に展示することで、拡大する為に起こる必然的な状態の変化とそれに対処するために貴志が取った行程を示すという空間的な作品、そして、壁面を使って、キャンバス地やシートをベースに構成した平面的なものに、その構図や内容に対応する構造物を連関させて展示する絵画的なアプローチの作品を発表致します。これまではただ解けない数式のようにしか提示されてこなかった貴志作品の、何らかの解法を垣間見ることができるでしょう。
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