山本現代では、『Richard SERRA featuring recent prints』 を開催いたしますのでご案内申し上げます。
鉄板を使った超大型のサイト・スペシフィックな作品で知られるリチャード・セラは、言うまでもなく現代美術史において最も重要な彫刻家の一人で、74歳の現在でも積極的に新作の発表を続けています。
1970年代初頭には、彫刻のための習作にとどまらず、空間の知覚や身体との関係性をさぐる別の手法としてのドローイングに取り組み始めました。セラは、既存のインクや木炭では得られない効果を追求した結果、独自に顔料を油脂と蝋でブロック状に成形したペイントスティックを使用し、巨大な平面を黒色の層で塗り固めます。黒い重厚な画面は、展示空間のなかでさらに別の空間を構成する素材として洗練、強調され、場を支配する重力にも似た緊張感を与えられています。それぞれのドローイングは、緩く弧を描きながら湾曲する面や、直線的なボリュームの構成など、平面作品でありながらセラの彫刻作品を想起させる空間的効果を多分に実現しています。2011年、2012年には、これらの平面作品を集めた回顧展『Richard Serra Drawing: A Retrospective』が、メトロポリタン美術館(ニューヨーク)をはじめとする全米3美術館で開催され、大きな注目を浴びました。
1972年以降リチャード・セラは、同時にエッチング作品のシリーズも精力的に制作しています。ドローイング作品にみられる多様なテクスチャの黒い巨大な平面がインクで刷られ、従来のいわゆる凹版画とは思えない重厚な表現に至っています。本展では、そのうち2004年から2011年までに制作された近作の中から、比較的小型の作品から高さ2メートルを超える大型の作品を展示いたします。
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