造形主義にディフォルメされた肢体を持つ少女たちの絵。越後しの氏の描く少女画はまるで妖精のようにも、魔物のようにも見える意味深なシュールさが魅力です。マットなモノトーンを主体に、透明感のあるアクリル絵具の色彩を効かせたグラフィック感覚豊かな大型の作品から、細やかな描線一本ずつまで丁寧に刷った柔らかなタッチの紙版画まで、時に立体的なアプローチも織り交ぜる幅広い手法バリエーション。一貫して彼女が追い続けているのは、その時々の自分の心象風景だといいます。
念写のようにして日々、彼女の手元から生まれるユニークな「自画像」には、原画か版画かを問わず、詩的な含意の膨らみと民芸品的な可愛らしさもあり、仙台や東北各地の熱心なファンたちを中心に根強くフォローされています。ほぼ独学で絵画知識を身につけたのち各種のアートコンペで高い評価を獲得。20代半ばで自らのギャラリーを開設するなど、開拓意欲溢れる彼女のキャリアも話題のひとつです。
本展は、越後氏が8年ぶりに東京で開く個展です。タイトル「在り在りて」は、「人が幼い頃から持っているありのままの変わらないのものが、ずっと続いている様」を表現した造語。より人物画への傾斜を深めている近年、彼女が代表的シリーズとして打ち出しているカテゴリーから選りすぐった作品群で構成します。大小のアクリル画や紙版画、約50点を展示・販売するほか、トートバッグやカレンダー、仙台の新鋭アーティストたちによるグッズ類など関連商品も合わせて販売いたします。
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