原高史は、多摩美術大学油画科、同大学院を卒業後、文化庁芸術在外研修と、ポーラ美術振興財団在外研修との奨学金制度でベルリンに留学。現在も東京とベルリンとで製作を続けています。
原は絵画、映像、立体を用い重層的に多様なメディアを用いての作品製作の傍ら、「ピンクウィンドウズプロジェクト」で広く認知されている大型プロジェクトを、ヨーロッパ、南米、アジアの12都市でのビエンナーレ等で展開してきました。そのダイナミックな活動から培われる表現力は、原の描くペインティングにも多いに反影されています。絵画作品は、「言葉(文字)」と「絵画」とで構成され、詩的で繊細な表現力と、絵画的なオリジナリティーには高い評価が寄せられています。作中に見られる「言葉」は、生活の中で原が偶然に耳にした言葉や、自らが詩の様に発する言葉の、2種類から成ります。いずれも、ある瞬間、原によって掴み取られた言葉であり、現代社会を象徴するニュアンスを含んでいます。言葉は作中に文字として描かれる場合と、描かれるモチーフ(狼、カラス、麻袋、少女、ロウソク、等)各々に意味を託して、間接的に表現される場合とがあります。私達は原の絵画の前でそれらの意味をたぐり寄せながら作品に潜むテーマを解読する事ができます。
今回の展示は、油彩の他に、原が日常的に携帯しているアイディアノートの中からドローイングを数点選び、作品として仕上げたものを発表します。このスケッチに着彩を施した作品は、「小さなノート」と称し、2007年〜2009年にシリーズとして20点余りを製作し、海外のアートフェアー等で爆発的な人気を博しました。久々にこのシリーズを製作・展示致します。
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