宇川直宏は、美術にとどまらず、グラフィックデザイナー、VJ、ミュージッククリップディレクター、執筆家、大学教授など、多岐にわたって活発に活動し、常に時代に対する批判的視点から既成のファインアートと大衆文化の枠組みを乗り越え続けてきました。2010年3月にはライブストリーミング・チャンネル「DOMMUNE」を開局、毎週月曜日から木曜日まで連夜番組を配信し続けています。番組は分野を問わず宇川がリスペクトする様々なゲストを迎えてのトークプログラムと、世界に名だたるDJとミュージシャンが出演するミュージックプログラムの2部で構成され、日本だけでなく世界規模で圧倒的な人気とビューワー数を誇ります。
今回の個展「2NECROMANCYS」は「NECROMANCY」という言葉の通り、宇川自身が作品という降霊術によって、そこにいる筈もない対象に一方的に交信し、憑依し、存在させようという試みです。 宇川の手によって、確かに展覧会場に出現する著名人達。そこにはオリジナルとコピー、本物と偽物の矛盾を超越した圧倒的な存在感が鑑賞者を迎えます。
「UKAWA'S TAGS FACTORY(完結編)/1000 Counterfeit Autograph!!!!!!!!!!~宇川直宏によるセレブリティー1000人の偽サイン展~」は、2009年に東京と大阪で展示された作品「UKAWA'S TAGSFACTORY!!!」に、新たに500人もの著名人を自らに憑依させ描き下ろした、合計1000枚に及ぶサイン群を、会場に展示できるだけ展示いたします。本作は、時代もジャンルも異なった著名人のサインが、宇川自身の手により再現され、同価格で並列されることで、知名度や希少性などによって様々に価値変動をみせる「サイン色紙」、ひいては私たちの価値観そのものを今一度、追考するものです。
また、2012年8月に夏目漱石も出演した「FREE DOMMUNE ZERO」にて話題騒然となった、あの驚愕のインスタレーションが再現されます。氏の忘れ形見と本人の声から再構築された映像作品とともに、今、なお色褪せることのない日本の文化の礎=夏目漱石を共有することで、漱石文学の哲学的基礎でもある「実在と存在」の意義を再認識しようというものです。
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