衣川明子は1986年生まれ。2012年武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵
コースを修了し、同年gallery αMにて個展「絵画、それを愛と呼ぶことにしようVol.6
衣川明子」(キュレーター:保坂健二朗/東京国立近代美術館主任研究員)が開催さ
れるなど、今後益々の活躍が期待される若手作家です。
衣川はこれまで中心に描いてきた顔のほかに、意識の所在への注視に伴って、実体の確かな肉体へと関心を寄せるようになりました。画面に肉体が現れることで、顔/意識へと集中していた視野は広がり、そのすがたや所在を再度ひとつずつ確かめるように描き出します。
また以前描かれていた肉体は、命を投げ出すかのように急所をさらけ出し、観る者に不安をもたらす脆さをもっていましたが、衣川の言う「目があったとき」のようなふとした瞬間の肉体の無防備さをもとらえることで静かに現実との距離を詰め、より自然に意識を求める姿勢が見受けられます。肉体に対する感覚を補
うように絵の具には厚みが増し、薄塗りから物質感をともなう表現へと変化を遂げ、また仄暗かった背景にも色が増えてきました。加えて表題にある「皮」も鍵となると言えるでしょう。皮を境とする内と外の存在に対して問いかけられる〈意識〉の所在が、肉体や顔を越え、皮の向こうから透け出されるように画面へと表されています。
本展では、新たな変化を迎えた新作約10点を発表いたします。
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