香川県出身のアーティスト佃弘樹による国内では5年ぶりとなる新作個展を開催致します。
佃弘樹は、1978年香川県生まれ、武蔵野芸術大学映像学科を卒業し、過去に2007年と2009年にNANZUKAで2度の個展を経験しております。2011年以降は個展「New drawings, my journey and some memories」(TEN HAAF PROJECTS、 アムステルダム、)、個展「New Tokyo」(Galerie Lena BRUNING、ベルリン)や、グループ展「Flying」(Künstlerhaus Bethanien、ベルリン)など、主に欧州での展覧会を経て国際的な評価を高めてまいりました。
佃の作品には、都市の風景や建築物、樹木や水辺といった自然の風景など日常的なモチーフが数多く引用されていると同時に幾何学的な平面構成や記号的な要素が描かれています。前回の展覧会において、佃が「私が無意識のうちに見てきた風景から空想の世界を作り出しているのか、それとも私が空想していた世界が突如として私の目の前に現れるのかは解りませんが、そういった私の中に刻まれた風景の断片を記憶として表現したい」と語っているように、佃の作品には現実と非現実的とが共存しているかのような世界観が広がります。
佃の作品を理解する重要な要素として、佃が幼少期から親しんできたSF映画やTVゲーム、アニメーション、漫画、音楽、小説などの影響を抜きには語れません。佃は、自身の作品を外の世界(アウターワールド)と解説しますが、そこには佃が幼少の頃から信じてきた未来とその未来を生きる現実との乖離を読み取る事ができます。佃の作品が持つ近未来的な世界観は、佃が現実の世界で読み取っているイメージとこれまで影響を受けてきた媒体から記録してきた情報とが複雑に混ざり合って生まれた、もう一つの「現実」から生まれていると言えるのかもしれません。
佃は、常々日常生活の中に潜む非現実的な存在をリサーチして記憶に留めてきました。例えば、大自然の風景の中に突如として現れた巨大建築物など、相対関係によって物事の意味が変わる事例は、佃がこれまで探求してきた多元的な視覚や思考の再構築というテーマにおいて、重要なイメージソースとなってきました。本展においては、佃はこれまで主に二次元の平面作品において具現化してきたそうしたイメージをインスタレーションによって三次元に再変換するという新しい試みを行います。
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