ビクター・カスティーロは1973年、チリ・クーデター敢行の年に誕生しました。
その翌年から以後15年に渡り敷かれることとなる、ピノチェット政権の軍事独裁体制による情報操作と抑圧の下で幼少期を送ったことは、彼に「物事の裏に隠されたもの」を見つめようとする眼を植え付けました。
情報操作による「作為」は、誰もが普段目にするテレビ番組や、広告の中は勿論、子供向けのアニメーションやコミックの裏にさえ二次的、三次的に歪められ仕組まれていると、ビクターは云います。
今展のタイトルである"MORIR"とは、スペイン語で「死」を意味します。
今年の夏に病に倒れたことで死を強く意識することとなったビクターは今回「死」をテーマに新作を描きました。
死とは生の対局に位置するのではなく、常に隣り合わせであることを、ビクターのキャラクターたちは観客に囁きかけます。
親和性と違和感の同居したビクターの物語を前に、私たちは、我々を取り巻く環境、あるいは私たちの存在そのものについて今一度自分自身に向かって問い直さずにはいられなくなることでしょう。
ビクターは2004年にスペイン、バルセロナへ移住、現在はロサンゼルスに在住し、母国、チリは勿論、スペイン、フランス、ドイツ、ニューヨーク等、世界各地のギャラリーや美術館で展覧会を行い、国際的に活躍の場を広げています。
メグミオギタギャラリーでは2013年5月に開催した「世界の版画展」に続く2回目の発表となりますが、個展は今展が日本初となります。一見アニメのキャラクターのようなイラスト風の絵の内側にビクターの強い核となるものを作品から感じ取ってもらえることでしょう。
「光と闇」による「生と死」を表現した、新作のオリジナルペインティング4点を中心に、ドローイング、版画、計8点を展示致します。
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