「ハッピー・ピョンヤン」は、プロデューサー荒巻正行氏と、北朝鮮のある芸術工房との共同作業によって生まれた、北朝鮮初のコンセプチュアル・アートです。北朝鮮の芸術家たちは、創作社と呼ばれる国家運営の芸術工房に所属しているため、個人で活動する職業芸術家は原則的に存在しません。国家のプロパガンダ機関である創作社では、ポスターや絵画、銅像などを、国の計画に従い制作しています。そこに所属できる人数は限られており、彼らは国が定める一定の水準を極めたエリートです。
ソビエト、中国から継承された社会主義リアリズムによる超絶的な写実技法を用い、荒巻氏が設定した「平壌という都市を背景にした可憐な少女」というテーマで、絵画制作を一つの芸術工房に依頼しました。その際、2010年という年を12ヶ月に分け、それぞれの月の「幸せの構図」を、複数の画家のそれぞれの発想で競争的に描かせるというコンセプトを用いました。それらの作品群を月順二並べたとき、その間には無意識の平壌の空気が見えてきます。
本展は、北朝鮮を一つの世界と捉え、その首都平壌における特異な時代の空気を、次の世代へのサンプルとして留めようという試みです。また、「可憐な少女」に続いて「凛々しい少年」というテーマでも制作を行いました。
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