2010年「Flashback」(児玉画廊|京都)、2011年「Wildfire」(児玉画廊|京都)に続き、2012年のグループショー、ignore your perspective 15 -ノヴァーリス「青い花」について-(児玉画廊|東京)での新作発表を経て、本展は梶原にとって三度目の個展となります。
梶原は「絵を描く」という行為について、恣意的なイメージを単に描写する事ではなく、「自らのコントロールを超えた領域にある、より強烈なイメージを獲得する事」であると、一貫してその認識に基づいて作品制作を続けています。
今回の個展では、作品を制作するにあたって、目の前にあるものや実際にある状況を「リアリティ」、つまりイメージに相対する現実感として一旦記憶した上で、徐々にその像を歪め、違った解釈を付与して作り変えていきます。
「リアリティ」を元にイメージされたものの内部に、更に次のイメージを求めて沈潜し続けることで複数の事象と現象が極限まで溶け合い、結果として、「リアリティ」の原型を微かに匂わせながらも抽象化した画面として表されています。
梶原らしい明瞭でスピード感のあるおおらかな筆致によって複雑さはなく、ただ画面の奥底に何かが潜んでいるのだという予感を見る者は強く覚えます。「パレス」のように制約の中で醸成するようにイメージを得るのでもなく、また自分の中にあるイメージを剥き出しにする事によって自我のコントロール下から強引に逸脱しようと言うのでもなく、素早く振り抜かれたストローク一つ一つの中に多くの要素を潜在させ飽和させていくことで、見る者にとっても自らにとっても決して一様でない「リアリティ」を秘めた「強烈なイメージ」として、それを目にした者の心を震わせる作品を描こうとしているのです。
〒601-8025 京都市南区東九条柳下町67-2
TEL : 075-693-4075