超物質的幻(シュルマテリエルヴィジォンズ)とは
何かを生み出そうとする時に手にとる素材。その中を通り、生きる、制作という労働。
見えるすべてを手がかりにして湧き起こる感覚。
作品をつくる、そして作品を見るという行為は、どこか境界を生きることに近い。私たちはここで、そうした境界を持つ生の体を手に入れること、境界という一種の幻の基体となるような、作品という肉体をつくりたいと考えている。
超物質的幻(シュルマテリエルヴィジォンズ)とは、音声が意味を帯びること、または意味が音(ね)に変わるような、そんな行き来の次元を物質と表象のあいだに作り出そうとする行為、そしてそのことが行き着いた結晶体(作品)の名前である。
ある断片・破片が波立ちながら徐々に法則性を見出して行くこと、
静止の姿のなかで巻貝のように背後の音・運動が像を解体し逃がして行くこと――。
超物質的幻は、幻(イメージ)とその土台とみなされていた物質とが、関係を転覆させることでみせる世界の可能性であり、そんなふうによむことを要求する。
本展では絵画から出発した作家4名が、それぞれに「描く」「見る」を通して、生きるために沿う意味連関のやり直しを求めて、なにかを掘り返し、剥がそうと試み、どこかへ積もっていく物事の上澄みを掬い取り編みなおそうと汗を流す。そうして、夏の太陽の下で生きた体=〈超物質的幻(シュルマテリエルヴィジォンズ)〉を作るプロジェクトである。
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