本展は、幅7mの大きな楕円の『Prism』を中心に、ペインティング作品のみで構成されます。
「もし、蛾の目線になって光を見ることができるなら、その光はどんなインパクトを持って私の前に現れるのだろうか。(作家談)」 ネオンカラーで描かれるペインティング群が、作家による意図的な「軽薄さ」をまとい、ポストモダン以降の私たちの置かれた今という時代に肉薄します。
人体のスケールを遥かに超えた巨大な『Prism』の前で相対的に小さくなった私たちは、シルバーの背景に映り込むような自分の姿を意識し、作品の中へ迷い込むような錯覚を体感します。大野の作品は空間に展示することで、より物語性を増し、窪田研二氏はそのことを、「あたかもそれは全てを映し出す鏡のような効果を持ち、鑑賞者に私たち自身の生きている世界について直感的に何かを悟らせようとしている儀式的な道具のような役割を果たしている」(「VOCA展2010」上野の森美術館、2010年)と特筆しています。
鑑賞者は大野の用意した『Prism』の合わせ鏡のような空間の中で、どのような景色を見るのでしょうか。
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