志村信裕は「光をあてる」をテーマに、ビデオプロジェクションによるインスタレーション作品を発表しています。
身近なものや風景の実写映像を特殊な場所や素材に投影することで既存の空間を変容させるという特徴的なインスタレーションは、「あいちトリエンナーレ 2010」(愛知)や「Experimenta」(メルボルン)などの数々の国際展や展覧会で注目されてきました。
これまで、横浜の路地裏に赤い靴の映像を投影した《赤い靴》、商店街の庇にリボンの映像を投影した《ribbon》など、降り注ぐ光を鑑賞者に体感させるような野外でのインスタレーションのほか、料亭の畳に刺した330,000本の待ち針をスクリーンに見立てた《pierce》、バケツに張った水に映像を投影した《bucket garden》など、場所やスケールを問わない展開を見せています。
これらの志村作品に共通しているのは、映像と被写体の関係性のアンサンブルにより表現される記憶や時間性です。
展覧会のタイトルとなっている「Slow Sculpture」は、「残像のような彫刻をつくりたい」という志村の意図であり、映像という触覚という概念のないメディアをひとつの素材として巧みに扱う作家としての姿勢が表れています。
本展では、2013年1月から3月にかけて参加した秋吉台国際芸術村(山口)でのレジデンス・プログラムでの制作を通して関心を持ちはじめたという、蝋や石材などの素材を被写体に使った映像インスタレーションなどの新作を展示いたします。
志村信裕は1982年生まれ、武蔵野美術大学大学院映像コース修了。主な個展に『うかべ』(2009年、横浜美術館グランドギャラリー)、『游』(2010年、Sakshi Gallery Art Salon、台北)、『恵比寿幻燈祭 Dress』(2012年、TRAUMARIS|SPACE、東京)、グループ展に『あいちトリエンナーレ2010』(2010年)、『Experimenta Speak to Me: 5th International Biennial of Media Art』(2012年、メルボルン)、『ヴァンジ彫刻庭園美術館コレクション展 この星のうえで』(2012年、ヴァンジ彫刻庭園美術館、静岡)、などがあります。
志村信裕 ウェブサイト:
http://nshimu.blogspot.com/
東京都江東区東雲2-9-13 TOLOT2F
Tel:03-3520-1700