江戸初期の揺籃期を経て、幕府や諸藩の政治・経済の基盤が固まり、文化が発展した元禄時代(1688~1704)。それは経済力を蓄えた町人を中心とした奢侈逸楽の文化でした。贅を好む風潮の中で、伊万里焼にも絢爛豪華な様式、"古伊万里金襴手様式"(こいまりきんらんでようしき)が成立します。
染付の青い文様をベースに、赤・黄・緑・紫・黒に加え、金をたっぷりと使った華やかな古伊万里金襴手の鉢は「型物」と呼ばれ、高級食器として豪商たちの間で珍重されました。
また17世紀後半以降、伊万里焼は重要な貿易品目でもありました。元禄頃には、ヨーロッパの王侯貴族の趣味を反映し、大型で華美な室内装飾用の瓶や壺が作られ、海を渡っていきました。
今展示では、国内向けと海外向けという受容者によって大きく様相の異なる、さまざまな"古伊万里金襴手"を展観いたします。
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