1980年代から深淵で複雑な精神のありようを捉え人物彫刻を制作してきた舟越桂。
舟越にとって版画は彫刻と変わらぬ芸術の一手段であり、1987年に最初の小さな銅版画作品を発表して以降、毎回あえて違う手法で制作し続けてきました。
今回の新作は、舟越本人が「今までつくった版画の中で一番彫刻に近い制作だった」というメゾチントの技法。
版全体を深く傷付け、黒から白の微妙なハーフトーンを出現させる。単純な平面でなく奥行きがありそれ自体が「立体的」といえます。
自然や夢、想像力など人間を取り囲む大事な物や「ダブル・イメージ」をテーマに制作された彼の新作版画は、平面でありながら舟越桂の作品としてのまばゆいばかりのオーラを放っています。
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