ルイス ・ ブニュエルの 《昼顔》 (1967) と マノエル ・ ド ・ オリヴェイラによる 《夜顔》 (2006) を遡る。婚約者ピエールと結婚し、 「昼顔」 となる前のセヴリーヌの物語。
リヴォリ通りに面するホテル ・ レジーナに滞在するセヴリーヌは ルーヴル美術館を訪れた際、 見ず知らずの男に声をかけられる。
短い会話の中、 高僧と牝犬の話を聞かされるのだが セヴリーヌは混乱し、それは無意識に刻み込まれた。
BELLE COMME LE JOUR は若い学生であるパリジェンヌのストーリー。
2010 年代に生きる熱烈な映画ファンでありカトリーヌ ・ ドヌーヴによく似た顔立ちで お気に入りの映画シーンを再演する彼女。
衣装はバレンシアガの前デザイナー、 ニコラ ・ ゲスキエールによるもの。
ヌーヴェルヴァーグ的ストーリーでもある。
マルチェロ ・ マストロヤンニに似たファッションフォトグラファージアスコ ・ ベルトリにつきまとわれる 世慣れていないジュリエット ・ ドゥ ・ フェーリュック演じるレトロフィルムである。
BELLE COMME LE JOUR は実在的なフィルムであり 、映画上の究極的な情熱のシンボルであるドヌーヴとマストロヤンニやレジェンド化された銀幕世界、 実在の男女彼ら全てのラブフィルモグラフィーを小説的な方法で交差させる初めての試みである。
BELLE COMME LE JOUR は
ヴィクター ・ フレミングの 《風と共に去りぬ》
アルフレッド ・ ヒッチコックの 《めまい》 と 《マーニー》
クロード ・ オータン = ララの 《可愛い悪魔》
ロマン ・ ポランスキーの 《反撥》
ルイス ・ ブニュエルの 《黄金時代》 《昼顔》 《哀しみのトリスターナ》 《欲望のあいまいな対象》
ジャン ・ ポール = ラプノーの 《城の生活》
フランソワ ・ トリュフォーの 《暗くなるまでこの恋を》
アラン ・ レネの 《去年マリエンバードで》
マルコ ・ フェレーリの 《ひきしお》
ジャック ・ ドゥミの 《ロバと王女》
トニー ・ スコットの 《ハンガー》
ブライアン ・ デ ・ パルマの 《殺しのドレス》
マノエル ・ ド ・ オリヴェイラの 《夜顔》
といった映画をパリ、 ルーヴル美術館のミロのヴィーナスの部屋を背景に結び合わせたフィルムミュージアムである。
《去年マリエンバードで》 のように反復はシネマを新たな見解へと導く方法になっている。
アリ ・ ベンジャミン ・ マイヤーズ作曲の音楽はワグナーの 《トリスタンとイゾルデ》 とバーナード ・ ハーマンの 《めまい》 にインスパイヤされている。
BELLE COMME LE JOUR はセヴリーヌのマゾヒズムを臨床的に物語る。
うぶな娘がトラウマを抱え、 秘めたダブルライフを送ることを余儀なくさせられる。 それは快楽と服従を問う。
ヴェルヴェット ・ アンダーグラウンド " Venus in furs( 毛皮のヴィーナス )" をアート ・ リンゼイがカバーした曲
"faux fur" にのせて。 ( 翻訳 : 荒木朋子 )
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