Memento Moriと名づけられた陶作品のシリーズは、昨年から数回に渡りイケムラが滋賀県立陶芸の森に通い制作しました。横たわる少女の陶作品は、プラチナ釉薬を纏い妖艶に輝きます。その姿は花のつぼみのようにも見え、流蜜期を終え枯れゆくのか、あるいはこれから大きくぷっくりと咲き誇るのか、いずれのようにも捉えられる様は、生と死を同時に孕んでいます。
「カルペ・ディエム 花として今日を生きる」というテーマで今夏豊田市美術館にて開催された展覧会に出品されたこれらの陶作品は、人の命の短さや儚さよりも、死を意識してこそ輝く"命の炎"を、灼熱の釜の中から生まれた自らの陶作品を見せることで伝えたいと強く願ったであろうイケムラの魂を感じる作品です。"炎のゆらぎ"を"生と死のゆらぎ"に置き換え、常にその境界線を行ったり来たりすることによって立ち現れる姿を可視化したそれらの陶作品は、今回の展覧会に出品されている水平線の絵画作品3点とも呼応します。
【プロフィール】
三重県生まれ。1973年渡欧し、現在ベルリンとケルンを拠点に活動。2009年August Macke賞受賞。主な個展に2011-12年うつりゆくもの(東京国立近代美術館、三重県立美術館)、2009年ME ZA ME(シュウゴアーツ)、2008年Leiko Ikemura: Day, Night and Half Moon(MUSEUM ZU ALLERHEILIGEN SCHAFFHAUSEN、スイス)、2006年u mi no ko(ヴァンジ彫刻庭園美術館)、2004年-2005年Leiko Ikemura Skulptur・Malerei・Zeichnung(レッキングハウゼン・クンストハレなど)、2000年地平線を越えて(豊田市美術館)。グループ展に2012年庭をめぐれば(ヴァンジ彫刻庭園美術館、静岡)、2011年ふたつの太陽(シュウゴアーツ)、2010年イノセンスーいのちに向き合うアート(栃木県立美術館)、2008年 現代美術への視点6 エモ―ショナル・ドローイング(東京国立近代美術館)、2006年 ベルリン-東京(ノイエナショナルギャラリー)、2004年 愛と孤独、そして笑い(東京都現代美術館)、アートが紡ぐ物語(森美術館)、など。2013年3月から6月にかけてカールスルーエのStaatliche Kunsthalle Karlsruhe にて個展LEIKO IKEMURA. i-migrationが予定されています。
SHUGOARTS
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