もっといいところを探したって、すぐにどこも一緒だとわかるさ。
パラダイスだって思ったところもそうじゃない。
・・・あなたの生き方を変えることが難しいのはわかってる。・・・・
もしあなたが最初の一歩を踏み出すなら、すぐに終わりが来るわけじゃないってわかるよ。
・・・僕らはいま一体どこに立っているんだろう?
(CHICAGO / "Where do we go from here?")
1960年代後半、政治的な曲を多く歌っていたロックバンドCHICAGOによるこの曲のタイトルは、69年の人類初の月面着陸の際の実況中継TVレポーターの言葉からとられています。月面着陸を支えた進歩思想と同時に存在した62年のキューバ危機に始まり、ベトナム戦争に至る大きな闇。若い世代はこれまでとは違う、新たな世界を模索していました。昨年の東日本大震災という未曽有の大災害の後、これからどこへ向かうべきかを考えていたとき、この昔の歌が聞こえてきました。
私たちはこの一年半の間に、向かうべき目的地をはっきり見据えることができたでしょうか?残念ながら、まだ先の見えない状況が続いていると言っていいでしょう。しかし、一つだけ以前と明らかに違うことがあります。それは「まなざし」です。私たちはどこへ行くのかに対する答えはありません。しかし、それを問い続ける態度とまなざしにこそ答えがあります。
アーティスト・イン・レジデンスはアーティストが単にどこかに滞在したり、海外に出かけたりすることではありません。ひと時、自らの文脈から離れ、世界を凝視する機会、そのまなざしこそが、アーティスト・イン・レジデンスと呼ばれる機会です。in the air、まるで空に漂うように、そしてだからこそ見えてくる世界があります。
「僕らはいま一体どこに立っているんだろう?」をテーマに掲げた、昨年の「アートの課題2011」では、レジデンス滞在を通してレクチャーやワークショップを行いました。この問いについてともに考えたアーティストたちが新作とともに帰ってきます。
■出展アーティスト■
チャン・ヨンヘ重工業(韓国 / アメリカ)
ディン・Q・リー(ベトナム)
ウィット・ピムカンチャナポン(タイ)
■関連プログラム■
アーティスト・トーク
日時:10月31日(水)19:00-
出演(予定):チャン・ヨンヘ重工業、ディン・Q・リー、ウィット・ピムカンチャナポン、ワシフ・コルトゥン(SALT Research & Programs ディレクター)、ディビット・エリオット(第1回キエフ・インターナショナルビエンナーレ、アーティスティック・ディレクター)
会場:トーキョーワンダーサイト本郷
滞在制作
モハメド・アブデルカリム(エジプト)
ヌール・アブアラフェ(パレスチナ)
滞在期間:9月初旬~11月下旬
オープンスタジオ:10月26日(金)―28日(日) 13:00 -18:00 (予定)
会場:トーキョーワンダーサイト青山:クリエーター・イン・レジデンス
アートの課題2012プログラムの一環として、中東より若手アーティストを招聘します。トーキョーワンダーサイト青山:クリエーター・イン・レジデンスを拠点に滞在制作を行い、リサーチや制作のプロセスをOPEN STUDIOにて公開いたします。また、本滞在中に制作された作品は来年度トーキョーワンダーサイトにて発表予定です。
トーキョーワンダーサイト本郷
〒113-0033 東京都文京区本郷2-4-16
TEL:03-5689-5331
FAX:03-5689-7501