近年、ダンスパフォーマンスとのコラボレーション等、絵画以外のジャンルでの活動でも注目を集める泉ですが、今回はペインティングにのみ焦点をあて、細密画風で描かれた新作ペインティング約5点を展示します。
泉イネは2002年、東京藝術大学美術学部絵画科油画卒業。
主な個展としては2007年「紺泉 ある庭師ー多分のひととき」(原美術館、東京*紺泉の名義にて展示)、2007年「未完本姉妹 ある夏まで」(AKAAKA、東京)など。
グループ展としては、2001年「セゾンアートプログラム・アートイング東京2001 生きられた空間・時間・身体」に参加(旧新宿区牛込原町小学校、東京*今泉康子の名義で展示)、2002年「MOTアニュアル2002 フィクション?―絵画がひらく世界」(東京都現代美術館、東京*紺泉の名義にて展示)など。パフォーマンスとしては「ダンスセッション(泉イネ+Danse Sanga Session) 」(HIGURE17-15 cas、東京)、2012年「And Zone」(上野の森美術館ギャラリー、東京)など。
<「同じ川に二度入ることはできない」>
泉イネは2001年の「セゾンアートプログラム・アートイング東京2001」で鮮烈なデビューを飾って以来、一貫して「変化しつづけること」を模索する作家である。そのことは彼女が10年強のキャリアのなかで2回、アーティスト名を変更していることにもあらわれている。
「空間を読む」ことを命題としていたデビュー当時から、中国の古い細密画や日本の蒔絵に影響を受けて制作されたペインティングへ、そしてよりコンセプチュアルな創作活動としての「未完本姉妹」シリーズ、近年のダンスや朗読への接近など、泉の軌跡は彼女が意識的かつしなやかに、「変化すること」を自身に課してきたことを示している。彼女もまた「同じ川に二度入ることはできない」というヘラクレイトスの言葉を切実に表現するひとりなのである。
「紺泉」作品として知られている細密画風のペインティングで構成される今回の個展は、「お金をめぐる文字になれない幻想譚」がテーマだという。価値と価格のせめぎあいや、モノと意味のはざまを往還する硬貨の存在、交換価値としてのアートなど、「お金」にまつわるあれこれをずっと感じていたという泉。 静かな、しかし真摯なその視線が、みえるものとみえないものの関係について私たちに問いかけてくる。
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