世界はたくさんのきれいな色と、そうじゃない色でできている。
だからこそほんの少しの真実に人は心を奪われる。
私はいつも絵の中で物語を見ている。
映画のカットをいくつも編集してつなげ一本の作品にする感覚に近いのかもしれない。それは完璧な嘘であるが、その世界にも必ず真実はある。
近藤亜樹
シュウゴアーツでは近藤亜樹の個展「たべる地球」を開催いたします。
近藤は、ダイナミックな構図と強くビビッドな色を用い、濃厚な時間と濃密な物語を、スピード感溢れ力強くためらいのない筆致で瞬時に画面の中に閉じ込めます。パネルを何枚も連結させて完成させる大作も彼女の作品の特徴のひとつで、映画のワンシーンのように切り取られた鮮やかな作品は、見るものを誘惑し想像力を引き起こします。現在サンフランシスコASIAN ART MUSEUMにて開催中の、森美術館チーフキュレーター片岡真実氏によるグループ展PHANTOMS OF ASIA展では、約10mの大作「山の神様」を展示しています。
山の神様
2011, oil on panel, 227x1018.5cm
「サクラノサトは、それが現実なのか架空の世界なのかわからないくらい美しく、突然まったく違う世界にたどり着いた錯覚をするような世界を描いた。それは、私が見た幻想の桜源郷だ。そこには桜の神様がやってきて、生き物すべてにいのちを与える。たべる地球は、私たちが普段いのちを口にして私たちは生きている、という作品。すべてのものはこの星に住み誕生して、生物はみな生きるために何かのエネルギーをたべている。しかし、何百年、何千年、何万年と経ち、地球が壊れてまた違う星が生まれたときに見る風景はどんな世界なんだろうかとふと考える。すべてが変わっても、たべるという行為はなくならないだろう。ここには大きい意味があるように思う。」と近藤は言います。
今回の展示は、サクラノサト(227.3×909cm)とたべる地球(227.3×436.5cm)という大作2点を中心に、力強く生命力溢れる瑞々しい作品数点で構成されます。ぜひ心と体を作品に委ね、その生命力を一杯に浴び吸収して頂けましたら幸いです。近藤亜樹の、シュウゴアーツでの初個展を、この機会にぜひ貴誌にて取り上げて頂けますようお願い申し上げます。
1987年北海道生まれ。2003年東北芸術工科大学大学院 実験芸術学科修了。他個展に、2010年おひさまプール展(Enoma、仙台)。主なグループ展に、2010年「わかてん」(AYu:M,山形)、「IWAKI ART トリエンナーレ2010」 (福島)、2011-2012年「4人展 -絵画-」 (シュウゴアーツ,東京)、2012年「PHANTOMS OF ASIA」 (ASIAN ART MUSEUM , サンフランシスコ、(開催中-9月2日まで))など。受賞暦に、2009年東北芸術工科大学卒業制作展 プライズ受賞、2010年NIPPON ART NEXT 2010 グランプリ受賞、2011年第26回ホルベイン・スカラシップ奨学者。
SHUGOARTS
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