B級映画やグラフィティ、スケードボード、ミュージックビデオなどストリートカルチャーに強く影響を受けた長谷川有里(1978年三重県生まれ)は、2002年東京藝術大学を卒業後、2004年から約1年半の間、L.A.に滞在します。L.A.では、ストリートカルチャーの要素をベースに、実際に現地で体感した時間や空間を加味し、作品を発表しています。
空を見上げれば、誰に伝えるでもなく刻一刻と変化し漂う雲。儚く、一瞬のうちに形を変え、二度と同じ形を見ることは出来ません。 わたしたちも同じでいる事はできず、日々変化しています。
どこの空にも同じようにある雲。その下で繰り広げられるそれぞれの世界。そんな二つを記憶から消える前に私はひっそりと、その一片を切り取り形に残したいと思いました。
それらを通して、もう一つ感じている事は、不変のものはないという事を覚えておかなければならないという事です。
長い目で見れば、誰の人生も終わりに近づき、形ある物は崩壊に向かっていきます。しかしそれらは虚しく悲しい事ではないのではないでしょうか。その間にはそれぞれの存在に物語がある事でしょう。そしてそれらの物語はどんなものであれ価値ある物だと私は信じています。
しかしその事に本当に気づく者はどれだけいるでしょう。
我々に必要な事なのは、それを頭に入れておく。目を覚ます。それだけで十分だと思うのです。それだけで一瞬一瞬がもっと価値ある物に変わるのではないかと思うのです。
長谷川有里
本展では、平面作品に加え、映像作品を含む新作を発表します。
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