1997年制作の未発表ドローイング、50数点を展示いたします。
'97年にGALLERY ZERO で開催された桑原の個展「翳のない浜辺」で桑原は、「凍り付く事を私達は知っていた。秘密は解き明かされ、遠くの光はそれ程、輝いては見えなくなった。帰る場所を失った夢の残骸は何処までも虚ろで、足下に打ち寄せられた白い生き物は悲しみを越えていた。」と記していました。高度成長期以来追い求め続けて来た発展と豊かな生活、それと双子として生み出されて来ながら隠されてきた汚染と不安。その相反しながらも切り離すことの出来ない現実を見据え、桑原は自分なりの表現を用い、今の日本の風景画として描いていきたいのだと語っていました。この思いこそが桑原の変わらぬ創作の原点なのです。
様々な絵画様式が見られる現在、桑原は技巧に重きを置かないラフな表現方法で1990年代から日本の新たな絵画をリードしてきました。芸術大学を出ていない桑原が、自らの思いをストレートに反映させる為に選び取った表現方法なのです。その表現方法とは反するかの様に、桑原の創作の原点は、当初からポリティカルで揺るぎのないものなのです。大きな災害をへた現在、変わらぬ視点を持ちながら創作して来た画家の、優しく強いまなざしをご覧頂きたいと思っております。この先私達はどんな「はなとゆめ」を見つめ、ひらかせてゆくのでしょう。桑原が描いた風景を眺めながら、今一度考えて頂ければ幸いです。
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