spoken words projectとSatoko Sai+Tomoko Kuraharaはそれぞれ服と器を作っています。
違うものを作ってはいますが「時間をとじ込める」といった共通のテーマがあります。
僕らが見ている日常に時間が付着しているのは当たり前ですが、その日常もそれに付着した時間もかけがえのない一瞬であるとはあまり思っていないのもまた日常です。
だからある美しい瞬間を、又その見た事によって動いた心象を、様々な技法やモチーフ、色等を使って服や器に染み込ませ定着させるのです。
服や器は人に使われてはじめて完成する、いわばまっさらな状態でアトリエで生まれます。
僕らはそのまっさらな服や器を眺めながら、そこに閉じ込めた時間をまだ見ぬ受け手に受け継いでいただく事に思いを馳せます。
時間の閉じ込められたその服や器に、受け手のこれからの時間を上塗りしていって欲しいと考えます。それらは風に当たり汚れ洗われ、時にはほころびたり破損したりもするでしょう。
それは僕らの作品は鑑賞するものでもあり、酷使するほどの頻度をもって使用するものでもあるからです。
どんどん眺め使うことで、受け手の時間が染み込んでゆく事なのです。
そこには、ある時間を共にする喜びがあるのです。
この、センチメンタルな作者と受け手の関係が「時間を閉じこめる」ことの醍醐味であり、それをするそもそもの理由です。ありがたい。
今回一緒に展示をするにあたって、その閉じこめる時間に名前を付けるとしたわけです。その名前が「青」。
青は寂しくもすがすがしい。始まりであり終わりでもあり。空も青でしょう。その空を風はのたうち、時間を遠方へと運ぶ。冬の朝、夏の夜。
青き火は強き思いを表すも、青春の日々は時間を迷走し、そぼ降る小雨に叶わぬ思いをぽちゃんぽちゃんと反芻します。
その青き時間が僕らの心に宿すのは、悲しみにも挨拶するような、今の東京の僕らの気分なのです、青な時代なのです。
そんな「青な時」をあなたはどう受け止めますか?
◎参加作家
○spoken words project
デザイナー飛田正浩
1968年埼玉県生まれ。1995年多摩美術大学卒業。
染織デザイン科在学中から様々な表現活動を〈spoken words project〉として行う。
卒業を機に〈spoken words project〉をファッションブランドに改め、1998年東京コレクションに初参加。手作業を活かした染めやプリントを施した服作りに定評がある。
現在、アーティストのライブ衣装や舞台美術、テキスタイルデザインも手がけ、ファッションの領域を超えて活動中。
www.spokenwordsproject.com/
○Satoko Sai + Tomoko Kurahara
崔聡子:1976年千葉県生まれ。蔵原智子:1980年東京都生まれ。
共に多摩美術大学工芸学科にて陶を専攻し、2002年卒業と同時に共同制作を開始。2005年に崔は韓国へ留学、2002年~2005年に蔵原はフィンランドへ留学。距離を隔てた活動期間を経て、2006年より東京のアトリエに拠点をおく。主に日本とフィンランドで展覧会を行い、作品を発表。シルクスクリーンによる陶器への写真転写など、量産技術と手作業を組み合わせることで、陶を素材に写真や版画のような複製芸術としての作品を制作。
www.saikurahara.com
○会場構成
小林恭+マナ (設計事務所 ima) http://www.ima-ima.com/
○グラフィックデザイン
榎本太郎 (7× nanabai inc.) http://nanabai.jp/works/01.html
○写真
高橋郁子
◎関連イベント
○オープニングパーティ 3月10日(土)18:00~
○トークショー 4月1日(日)14:00~16:00
設計事務所ima(イマ)の小林恭(こばやし・たかし)さん(1990年多摩美術大学インテリアデザイン科卒業)とマナさんをお迎えして、spoken words project、Satoko Sai + Tomoko Kuraharaの普段の制作の話などを行います。
〒101-0021 東京都千代田区外神田6丁目11-14
3331 Arts Chiyoda 2階 201・202
TEL : 03-5812-4558
WEB :http://akibatamabi21.com