2010年、東京藝術大学在籍中に「TURNER AWARD 2010」の大賞を受賞し、本年3月に東京藝術大学大学院油画第7研究室(通称:O JUN研究室)を修了、今年はドイツへの留学が決まっている和田の修了時の作品に100号サイズの新作を加えた展覧会です。
和田は、常に自然や宇宙の真理、その成り立ちに興味を抱き、その要素を分解してはまた違うものへと構築し、新しい見せ方や関係を提示します。それは、ときに絵を描くという行為そのものにすら牙を向くことがあり、本展ではいとも簡単にこれまでの制作スタイルを捨て、描くという行為そのものにフォーカスを当て自らと絵画との新しい関係を作り上げています。その結果、作品は塩ビ管に押し込まれ、パネルの裏に窓が描かれ、最終的にはいつも通りの和田百合子らしい作品群となって現れてきました。そのことが何を意味するのか、タイトルには何らかのヒントが隠されているのか。どうぞ和田ワールドをお楽しみください。
絵は説明がつくものであってはいけないと思います。
名作映画が素晴らしいと感じられるのもストーリーだけではなく、雰囲気作りや間のとり方など言葉では説明のつかないものによってでしょう。
我々が存在する宇宙ももちろん、身近な事物もまだまだ説明のつかないことだらけです。それを踏まえ、以前のようにコンセプトを考えてから絵を構築するのをやめ、今回は自分の中から湧き上がってくるイメージや色と形を正直にそのまま表現することに力をいれました。
だから、決して静かな部屋では描きませんでした。
旅に出たり、仕事上で色々な経験をしたり、近所の奥さまたちの井戸端会議に参加してみたりして、様々な人と触れ合いました。
そこに音楽やニュースやバラエティ番組で見聞きした膨大な情報の断片を加え、脳内でごたまぜにし、出来上がった渾沌に色を付けてイメージとして膨らませました。
そして今、私は強く思います、我々は説明のつかないものについて考えることをより面白いと思うのであろうと。
和田百合子
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