シュウゴアーツでは、小林正人の新作展「LOVE もっとひどい絵を! 美しい絵 愛を口にする以上 2012, Spring」を開催いたします。前回、2010年の展示では、小林がペアとよぶ2点1組を前提に制作された作品と作品の間に横たわる、説明不可能な結びつきを明らかにするかのような展示をし、絵画の新しい存在の仕方を提示しました。前回のテーマからさらに発展した今回の展覧会では、作品間の結びつきが2作品間だけの限定されたものではなく、多作品間で交錯するかのようです。
小林は「もっとひどい絵を!と言うのはさらに美しい絵を描く呪文のようなもの」と言います。キャンバスに住む人、編む女、緑を愛する女、黄色い服を着た裸の女、絵の具をぶつけられた女・・・。それらは即興的な行為の痕跡をとどめながら、たくさんの色を纏い、まるでより多くの愛を蓄えたかのようで、豊かで贅沢な潤いを持ち合わせています。絵画と絵画の間の関係性、そしてその結びつきは以前より一層自由でありながらも、個々は輝きを増しているのです。
もっと、もっと、ひどい絵を描こうとすることで、より美しい絵に近づくことができると信じる小林の絵画の前で、私達は真にそれと向き合い、彼らが発する愛を受け取り、美を感じ取る、その純粋で研ぎ澄まされた感覚を取り戻すことができるのでしょうか。
小林正人は1957年東京生まれ。1984年東京藝術大学美術学部絵画専攻、卒業。1997年から10年間ベルギー、ゲントにて制作活動を続けたのち2007年から広島県福山市に拠点を移して制作しています。主な個展に宮城県立美術館(2000年)、ゲント市立現代美術館(2001年、ベルギー)、テンスタ•クンストハーレ(2004年、スウェーデン)、高梁市成羽美術館(2009年、岡山)。2010年にはポーランド、ポズナンでの"メディエーションズ•ビエンナーレ"(ポズナン国立美術館他にて開催)と広島市現代美術館にて、それぞれの場所に距離を超えてつながるペア作品を1点ずつ展示しました。シュウゴアーツでは約2年ぶりの個展となります。
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