山元勝仁はこれまで、紙に色とりどりの色鉛筆で描き、切り抜いた紙片をパネルや壁に構成し、変化していく感情や思考を表した作品を制作してきました。2008年の個展「PLANETIZE ME」では山元自身を惑星に見立て、自分だけの惑星を作り、そこに世界の始まりと、山元と世界の関係を表現しました。
今回の展覧会タイトルにある「indoor」とは「心の中」のことを指していて、心の中で信じている何かを神々としてとらえ、山元だけの世界の秩序を視覚化しようとしています。
新作ドローイングには、山元作品のテーマである思考や感情の変化が、目的地のはっきりしない地図のように描かれています。これは、富山の山岳信仰の立山曼荼羅をモチーフとしています。曼荼羅は仏の悟りの境地である宇宙の真理を、仏・菩薩などを配列して表したものですが、立山曼荼羅には立山連峰の風景をもとに、それぞれの名所が地図のように描かれており、登山者のためのガイドブックの役割も持っていたと言われています。ドローイングに描かれる様々な形や色は、山元自身にとっての思考や感情などを表し、曖昧で繰り返されるこれらのことが、どこともわからない場所への地図のようになっていて、それは同時に山元自身の世界観をも表しています。
思考や感情が再構成されることによりルールが生まれ、その全体像が現われた時にひとつの世界が誕生し霊が宿る。心の中で起こるこれらの断片にもそれぞれ霊魂があるとするなら、山元は、心の中の「何か」と向き合いながら、曼荼羅を描がくように、ドローイングに自身の世界を出現させているのです。
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