岩田小龍。ニューヨークに移り住んで8年目を迎え、彼の地で制作を続ける小龍は、大都市での日常生活で見たもの感じたものをそのまま画面に映し出してきました。一見するとそれは60年代から80年代にかけてウォーホルやリキテンスタインが描いた、当時斬新でクールであったポップアートのようにも見えます。しかしビール缶や牛乳パック、企業のロゴやアニメのキャラクターなど、現代に生きる彼が描くそれらのモチーフからは、目新しさだけではなく、郷愁さえ感じられます。
それは作家岩田小龍独自の手法、つまり多くの色彩をキャンバスに重ね合わせ、画面に重みを持たせたうえで引っ掻いた跡を残し、更に小龍が択ぶ色彩はビビッドなものではなくパレット上で発見した多色の交じり合った深みのある色彩ゆえ、見る者にはこれまでのポップな印象だけではなく、それがまた新鮮でもあり作品に深みを持たせているといえるでしょう。
小龍が描くもう一つのモチーフ、「花」。NYで描き出した頃からずっと使われてきたものです。
本展では、「花」に光を当てた作品を中心に展示します。「花」というと一見よくあるテーマではありますが、彼が描く花たちの色彩のコンビネーションは絶妙に画面上で咲き上がり、またシンプルに描くことで更に想像性をも抱かせてくれます。そのモデルはどこにもありません。それらは、今展覧会のタイトルでもある小龍がニューヨークで感じた「What a cool!」なものに魅了され、理屈先行ではなく作品が訴えかけるクールさを追求して制作されました。これこそ我々には持ち得ない感覚に襲われることでしょう。
所在地: 〒550-0015 大阪府 大阪市西区南堀江1-19-27 山崎ビル2F
アクセス: 地下鉄四ツ橋駅・JR難波駅
TEL: 06-6534-3993
URL: http://www.tezukayama-g.com/j_index.shtml