2009年の個展「Home and Sea」では海での生命に関わる道具と日常で傷つき汚れて行く道具を、2010年「タミー」では60年代の着せ替え人形をモチーフに描いて注目されたホリー・ファレルの新作絵画展「Book Shop」。
ホリー・ファレルは1961年カナダ オンタリオ ノースベイで生まれました。日々の生活のストレスを解消する為に絵を描き始め、自分自身の技法を独学で身につけ1995年より本格的に画家としての活動を開始しアメリカとカナダを中心に作品を発表しています。
彼女の絵の題材は日常生活に欠かせない使いこまれた道具類が中心です。彼女はこれらのモチーフを通して人間を表現することで、人の姿のない肖像画を描きます。アクリルと油彩の混合技法で描かれた画面は艶やかな写真のようでありながらも筆の跡が湿った余韻を与え人の気配を際立たせます。何気ない日々の中で使われ傷ついたそれらのものは、経験を積んだ人間の表情の様に描きだされています。
今展では彼女が幼少期から現在までに親しんで来た本、あるいは一般的にも読まれたそれぞれの年代へ向けた本が描かれ、人の成長や老いを感じさせるような人間の一生を見せる展示となります。一見オーソドックスな静物画のようでありながら、選び抜かれた表情ある本の背表紙はそのもの自体が一人の人間のように感じられる肖像画です。
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