シュウゴアーツでは、2月14日(火)から3月10日(土)まで、陳界仁(チェン・ジエレン)、藤本由紀夫、田口和奈、戸谷成雄のグループ展「記録する視線」を開催致します。
陳界仁(チェン・ジエレン)は1960年台湾生まれ。1949年に中国国民党政権と共に中国から台湾へと渡った人々の第二世代である陳は、フィクションでありながらもアイデンティティとリアリティを突きつける作品を制作します。『Empire's Borders II』は、1950年代CIAが活動拠点として台湾に設立したダミー会社、Western Enterprises(西方公司)があった廃墟を舞台に、作家の父と思しき人物の視線で、記録から排除されながらも人々の記憶に残像のように残る歴史を再構築させた作品です。今回はこの作品に基づく写真作品6点を展示致します。今秋シュウゴアーツにて、新作映像作品を発表する個展を予定しています。
light-P, 2011, albumen print, 16.1×22.6cm
藤本由紀夫は1950年生まれ。視覚や聴覚など、私達の身体感覚の幅を再認識させる作品を多く発表します。2001年ヴェネツィア・ビエンナーレの日本館参加に続き、2007年には国際部門にて出品。国内では1997年から一年に一日だけ開催する展覧会「美術館の遠足」を2006年までの10年間、企画・運営し、鑑賞者のみならず美術館運営側にも新しい表現活動のあり方を提案し話題になりました。昨年のシュウゴアーツの個展では「私たちは今、目で音を聞き、耳で絵をみている。」という言葉とともに、特に視覚情報、聴覚情報の区別を越え、目と耳を柔軟に使いこなすことがキーとなる作品を発表しました。2月25、26日に六本木ヒルズにて開催のG-Tokyoでは、個展形式で新作を展示致します。
田口和奈は1979年生まれ。様々な媒体から人物の顔のパーツなどを集めコラージュを作成し、それをキャンバスに描き、完成した絵画を撮影、プリントし、近年ではそのプリントにさらに手を加えるといういくつものプロセスを経て作品を制作します。作品からは力強い存在を感じますが、被写体は部分的にしか存在せず、見るという行為を通じて何が虚で何が実なのか、私達が日ごろ無意識に対峙している「対象」に対しての疑問を投げかけます。2月11日から3月3日まで、世田谷区弦巻のXYZ collectiveにて「pandemonium」展に参加し新作を発表予定です。
洞穴体, 2010, 木, 灰, アクリル, 49x73x12cm
戸谷成雄は1947年生まれ。チェーンソーで刻むように作られる、複雑に入り組んだ襞の木彫で知られます。近年は「ミニマルバロック」という自らが生み出した造語をテーマに、内部世界と外部世界とが敏感に呼応する作品を発表しています。今回はレリーフと彫刻の両面性を持つ新作「天気輪」と、2010年の作品「洞穴体」を展示します。洞穴体では、視覚に訴えかけるチェーンソーの動きの痕跡と、その動きをじっと聞くかのような耳の形状が同居しています。見ることを通じてその声を聴く、そこでは視聴覚が同義をなしているかのようです。レリーフと彫刻、視覚と聴覚がまだ未分化の状態を保っている"両性的なもの"にこそ戸谷は可能性を見出しているのです。今年5月23日から7月30日まで、ウクライナ・キエフでの初の現代美術ビエンナーレ、The First Kyiv International Biennial of Contemporary Artに参加します。
SHUGOARTS
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