» 作品紹介
王雅慧(ワン・ヤホイ)は映像、写真、ビデオインスタレーションなどの作品を制作しています。それらの作品は静寂に包まれながらも、表面の下では何かが常にゆっくりと、あるいは速く変化しているような世界を描いています。想像はいつもそこから始まると彼女がいう、自身の部屋などの身近な対象を転換させる。そこには遊び心があり、作品は私たちがとらえている現実世界と創られたイメージが、有機的に溶け合うような不思議な感覚を与えます。
"Sunshine on tranquility" (2005)では、白い部屋の縁がゆっくりと動き形が変化していきます。その動きを追う太陽の光、そして影が手前に置かれた鉢植えの植物の表情を変えます。NYでのアーティスト・イン・レジデンス滞在中に制作された"Ex-change"(2006)では、個人の部屋の物がゆっくりと現れては消えていきます。"The Visitor"(2007)は、台湾の伝統的な生活の痕跡が残る家の中に入り、静かに移動していく小さな雲を描いています。このような、イメージとスペースの関係は王の作品でよく取扱われる主なテーマの一つです。イメージは均質なスペースを一瞬にして変える力を持つこと。イメージは経験され、そして現実となり、存在を再構築する可能性をもつこと。彼女の「覚醒した状態で、しっかりと目を開けてみる白昼夢のような」作品(アーティストステートメントより)は、詩的であり、優美な水の流れのようでありながら、身体を媒介とした知覚のシフトを引き起こし、鑑賞者を別の現実へと誘う力を持っているのです。
» 展覧会について
本展では映像作品「You are my sunshine」と、2つのシリーズの写真作品「Leaf Holes」、「Make a flower arrangement for me」から約10点の他、ドローイング等を展示します。「Leaf Holes」は拾った落ち葉に、そこから遠くの建物を見るための穴を開け、都市を背景にして撮影したシリーズ。同シリーズについて作家は、「カメラのレンズを通すと、小さな葉っぱが大きな建物を捕らえているように見えます。大きなものと小さなもの、頑丈なものと壊れやすいもの。それらが全て一つの写真の中にあります」と話します。その他の作品も同様に、「都市に残された自然」にインスピレーションを受けて制作されました。
» 作家プロフィール
王雅慧(ワン・ヤホイ)は1973年台北生まれ。2004年Taipei National University of Artsにて美術修士号取得。2002 年Taipei Arts Award受賞。活動の拠点を台湾に置きます。
2002年と10年に台湾ビエンナーレ、2010年には六本木アートナイトに参加し、主な展示に「The Tropical Work: Snowman」(2008年、National Taiwan Museum of Fine Arts、台湾)、「Handmade Fairytale」(2010年、Cable Gallery、ヘルシンキ、フィンランド)などがあります。作品はthe Fonds Municipal d'Art Contemprain(パリ)、国立台湾美術館、台北市立美術館にパブリックコレクションとして収蔵されています。小山登美夫ギャラリーでは2011年7月に開催のグループ展「things on strings」に参加、今回が国内初の個展となります。
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