有馬は1969年愛知県生まれ。2003年から2005年にかけてウォーカー・アート・センター(ミネアポリス)からサンドレット・レ・レバウベンゴ・パラルテ財団(トリノ)、ヒューストン現代美術館(テキサス)、ルフィーノ・タマヨ美術館(オアハカ)、モンテレイ現代美術館(モンテレイ)を巡回した「How Latitudes Become Forms」や、「第54回 カーネギーインターナショナル」カーネギー美術館(ピッツバーグ/2004)、「夏への扉 マイクロポップの時代」水戸芸術館現代美術ギャラリー(茨城/2007)など、国内外で多くの重要な展覧会に参加してきました。昨年はXYZ collectiveにて「Family Affiar」展、MISAKO & ROSENにて「Happy Mind」展(ともに東京)に参加しています。
有馬の実践における新たな展開として、本展では、初めて複数のペインティングによるインスタレーションを発表します。有馬は、新聞を支持体とした日記的なドローイング(その多くにおいて、描かれたテキストが重要な要素となっています)のシリーズを続けながら、線描による人物画のセット(いわゆるポートフォリオ)など、近年はドローイングという様式の美的な側面により直接的に焦点をあてた試みを行ってきました。本展では、そこからさらに発展して、現代における絵画的実践の可能性に関心が向けられています。絵画という媒体を用いることで、その作品は、不確定性や抽象性が持つ力を借りながら、具象表現と絵画形式というふたつの問題の間で、完璧な、そしてぎこちないバランスを取ることに成功していると言えるでしょう。
これらのペインティングにおいて為されているのは、2011年3月11日以降の東京の日常に対する有馬からの応答であると同時に、色彩の実験であり、キャンバスの内側および外側の空間をめぐる探求でもあります。ドローイング作品と同様に、個々の画面は、単一のテーマに特化されたものではありません。そこでは複数の問題が同時に探求され、並行的に先鋭化されていくのです。
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