フリーフォーオールとは、箱庭状のネットワーク型対戦ゲームにおいてのルールのひとつであり、このルールを選択すると自分以外の全てのプレイヤーは敵となります。それはつまり、1対1対1対1対...(永遠に続く)、出入り自由のバトルロワイアルとなることを意味します。
磯邉と星野は、このフリーフォーオールな世界はゲームの中だけのものではないと考えました。例えばジョージ・オーウェル著のSF小説「1984」の中の世界では徹底的な思想統制がなされ、主人公は誰に陥れられるかわからない恐怖を味わいながら日々を過ごしていました。また芥川龍之介著 「羅生門」の中では、倫理や規則といったものが、語る人によって如何様にも変化する無情な世界が描かれました。この二つの小説をキーワードとし、フリーフォーオールは現実の社会においても存在するのではないかという、磯邉と星野の確信に近い仮説を本展にて提示致します。
そして、この二人の作品から感じられる、のらりくらりと核心をかわすような雰囲気は、複雑な真実を語るのに実は相応しいのではないかと考えます。
〒101-0021 東京都千代田区外神田6-11-14-2F 3331 Arts Chiyoda 205