柴田精一は、切り紙を重ねて複雑かつ繊細なイメージを生みだす紋切重(もんきりがさね)シリーズや、きわめて薄い木の板を用いたレリーフ作品、実物を越えるまでに徹底して模造を行った立体作品などを発表し、現在注目を集めている若手作家です。表現手法としては様々なメディアを用いている柴田ですが、一貫して追及しているのは、ものがもつ個性であるといえます。
例えば紋切重シリーズでは、柴田は紙に色をつける/折る/切る/重ねるといった共通するプロセスから、無限のイメージのバリエーションを生み出します。それは、人間の顔がみな同じパーツを持っているにもかかわらず、一つとして同じ顔がない、という個のあり方に似ています。
また、レリーフのコンビニと神社は、部屋の片隅に沿うように直角の形に組み立てられ、安心感を与えたり、人が集まる場所、というコンビニ・神社・部屋の隅に共通する個性を指摘しています。さらに立体作品においてはひたすら対象をみつめることにより、その対象を単なる「もの」から個性をもつ「生き物」へと変える糸口を探り出そうとしています。こうした柴田による「個」への多彩なアプローチは視覚化され、私たちの世界に隠れている「個」のあり方を、新鮮な驚きとともに見せてくれます。
本展では、以上のような作品群に加え、作家初の試みとなる新作の平面作品をご紹介いたします。さらに、会場ではこうした初期作品から現在に至るまでの作品の数々をインスタレーションとして構成し、展示を行います。
所在地: 〒650-0022 兵庫県 神戸市中央区元町通3-9-5-2F
アクセス: JR・阪神元町駅 西口より徒歩1分
TEL: 078-391-1666
URL: http://www.gyfa.co.jp