福島淑子は 1985 年長野県生まれ、2009 年武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業、大学在学中の 2006 年にシェル美術賞展で審査員賞、2007 年にはグランプリを受賞、当ギャラリーでは 2007 年以来 5 度目の展示。
作品は人物を主体とし、ポートレイトや複数の人物による構成など個性的な人物表現を展開しています。描かれる人物に施される色彩は顔の持つ表情と共に多様で、眼差しは時に深く内面を表し、見る者にさざ波を引き起こすかのようです。
複数の人物の描写では、時にその構図は円環を描くなど、多分に図象的な画面構成を意図するものですが、今のような状況にある時、見る者に人とのつながりやコミュニケーションの可能性を感じさせる作品のようにも見えます。最近では個人的に子供に接する機会を得、福島らしい感性でその表情を捉えて、今展ではその一端が紹介されます。
タイトルの「spring snow」は今年 3 月 11 日、地震の少し前に見た雪のことで、晴れていた空が急に吹雪に変わり奇妙な感覚を味わったそうですが、ほどなく多くの人の精神性をも揺さぶる激震に遭遇し、原発が深刻な事態を迎え、子供たちの未来への懸念が心を満たしたようです。
描かれた子供たちはそうした作家の思いが映され、今この時を生きる眼差しやその手の表現は、私たち大人への問い掛けでもあるように思えます。
今、誰もが生きることの意味を再考させられる状況にあり、作家の苦悩も例外ではありません。
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