これまで米田は場所や物に潜む目には見えない「歴史」や「記憶」をテーマに制作してきました。今回の個展では2009年に台北のKuandu Biennale "memories and beyond" に参加した際に発表した、日本統治時代(1895年-1945年)に建てられた台北の日本家屋、具体的には、蒋介石政権時代の参謀総長であった王叔銘将軍の家、鈴木貫太郎の娘の家、そしてかつて「台湾の箱根」とも呼ばれたという北投温泉にあった日本家屋などの写真を展示します。台湾の歴史と共に日本家屋もそれぞれの時代を経て、持ち主を失い空き家になり放置された家や、日本の台湾統治時代後外省人が住み始め様式の機能を変えながらも現在まで住み継がれている家等、米田が台北滞在中にそれぞれの建物の記憶と、台北という場所の歴史を入念にリサーチしながら撮影し、今回の展示のために特別にプリントした日本未発表の作品群をぜひご高覧下さい。
米田知子は1965年兵庫県生まれ。1991年ロイヤルカレッジオブアート(ロンドン)修士課程修了。1999年VOCA展'99(上野の森美術館)、主な個展に、2003年記憶と不確実さの彼方(資生堂ギャラリー)、2005年A Decade After 震災から10年(芦屋市立美術博物館)、雪解けのあとに(シュウゴアーツ)、2008年終わりは始まり(原美術館)、2009年Rivers Become Oceans(シュウゴアーツ)、主なグループ展に、2004年ノンセクト・ラディカル 現代の写真III(横浜美術館)、2005年横浜トリエンナーレ2005(横浜赤レンガ倉庫、横浜他)、2006年フォトエスパーニャ2006(マドリッド)、2007年第52回ヴェネチア・ビエンナーレ(ヴェネチア)、第10回イスタンブール・ビエンナーレ(イスタンブール)、美麗新世界(北京東京藝術工程、北京)、2008年第13回アジアン・アートビエンナーレ・バングラデシュ2008(バンググラデシュ)など。来年3月までトーキョーワンダーサイト青山に滞在中。
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