画面に一筆入れる。その一筆を自分がどう読み取るかを見ている。それから向こうが空間として要求してくるものを次の一筆として入れる。そしてまたどう読み取るか。それを繰り返していく――
その都度(初心に戻り、)ふっと無意識から湧き上がる何かが画面に加わっていく...現代美術作家、堀浩哉のひく一本の線はそうしてできていきます。
キャンバスにアクリル。さらに岩絵具、墨、と、画材は日本画に近いものです。
しかし出来上がるものは、日本画でも洋画でも日本現代美術絵画でもありません。堀がいるのは、あくまで絵画の境界線上なのです。
堀はあるとき(もう40年も前のことですが)、パフォーマンスを通して「絵画の外側」に渡り、絵画を捉え直そうとしました。既存の「絵画の内側」に居ては、絵画の再発見はありえない、と。
10年ほどして「絵画の周縁部は周縁部でしかない。本質の実現には、絵画
の中心から」とまたもう一度、堀は筆をとり絵画と向き合います。
そうして内から外へ、外から内へと、行き来を繰り返すうちに、ゼロ地点のような内と外の境界線上で、堀だけが見ることのできる世界の開拓が始まりました。
日本で4年ぶりとなる今回の個展では、大作絵画に、出力プリントの上に描いたもの、パフォーマンスの上映と、異なる複数の手段で展開されます。私たちは、誰も入ったことのない領域「naked place(裸の土地)」で、堀が歩む未踏の軌跡を垣間見ることになるでしょう。
〒162-0843 東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2F
TEL: 03-3268-2500
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