YUKA CONTEMPORARYでは来る5月21日から6月18日まで、松川朋奈個展「around girls #00」を開催いたします。
本年多摩美術大学油画科を卒業した松川朋奈は、在学中より「とよた美術展2010」(豊田市美術館、愛知)、「第28回上野の森美術大賞展」(上野の森美術館、東京)への入選や、「第25回ホルベインスカラシップ奨学生」に選ばれるなど、早くからその作品が注目を集める期待の若手作家です。また今春の修了制作では、 履き潰したハイヒールで現代女性の心情を描いた3枚組の油彩(「Warp in her」)を発表し、優秀作品として福沢一郎賞を受賞しました。
この度YUKA CONTEMPORARYで開催される展覧会は、作家にとって初の個展となります。
ここ数年、松川は緻密かつ写実的な描写で、靴や服といった身近な事物を通して、女性の心象風景を描く「around girls」シリーズの制作に取り組んできました。
当初は物語性を一切排除した単色の背景上に、踵の傷ついたハイヒールや、飾りのパールが切れたパンプスを天眼鏡を通すがごとく画面全面に大きく描き出すことで、持ち主の日常生活における一場面を、そのタイトル(「絆がとぎれる」など)と共に、ドラマティックに提示していました。しかし、最近はそのモチーフが無造作に脱ぎ捨てられた衣服やアクセサリーなどへと広がるに伴い、松川の作品世界もより豊かなものへと変化、多様化してきました。
こうした作品群を一つの空間に並べ眺めれば、まるで知らない誰かの部屋を覗き見ているような不思議な感覚にとらわれます。そしてそれらは、移ろいやすい現代を生き抜く女性たちのように、華やかでありながら時に奇妙で毒があり、どこかシュールレアリスティックな印象すら与えます。松川の言う「その人自身よりも、身の回りの物がより鮮明にその人のことを語る」ことこそ、事物しか登場しない同シリーズ作品が、人物を描いた作品以上に人間の存在や体温を生々しく意識させる理由なのでしょう。
今回の個展では、「around girls」シリーズの新作に、修了制作で展示された「Warp in her」を加え、小品からF100 号の大作まで、十数点で構成します。ぜひ御期待下さい。
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