風の音がする。
人やもの、風景から発せられる雰囲気、言葉、音、色、におい、かたち、そこにそれらが在ることの影響力について考える。
世界は そういった全ての存在の影響力が ひびきあって成り立っているように思う。
その波長を受けると 僅かずつでも自分のかたちは変わるだろう。
雨風で石が削れるように。
自分がいるこの世界も自分と共に、絶え間なく変化してゆく。
小泉朋美
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小泉朋美の今個展のタイトルは、'ひびく'である。あえて短い言葉に託し伝えたい作家の思いは、作品と共に昇華している。
作家は、物理的に振動することで'ひびく'「音」や「もの」や「言葉」と共に、計測不能で感覚的に'ひびく'人同士や人の心や思い、感情的な 風景 季節 などを思い描いている。
また、英語に当てた'echo'は'ひびく'そのものの中に、時間経過した後の名残や形跡の意味を含んでいる。
それらすべての概念が、今回の表現の核となる重要な要素である。
さらにそれらの色々なものの'ひびき'合い がフィードバックして影響し合う、それによってさらに変化し、巡り巡って戻ってくる。そして循環を受けた後には、ナニカが変わっていくせめぎあいの中で、自分が変わる、相手も変化する。そのようなイメージを捉えて小泉は創作に痕跡を残す。存在を確認する。
今回初めて立体作品を手掛けたが、中から光るこの作品も、光の波長が'ひびき'ながら外に届くことによって、鑑賞者側が照らされ、その刹那に何かを残し世界と共に変容する。
振り返ってみたら、生きていくこと とは、変わっていくこと だけが変わらない理なのだろう と小泉朋美の一連の創作によって想起されるのだ。
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