このたびisland JAPANにて、2人展の連続シリーズ『SLASH』を開催致します。『SLASH』展は、今一番旬なアーティストを複数人とりあげ、シリーズで展開していく企画展です。
「SLASH」とは、ファンが作った2次創作作品(ファン・フィクション)の中で、キャラクター同士が結びつくようなカップリングを示す際に間にスラッシュ記号( / )を入れたことから、それを総称して「スラッシュもの」と呼ばれています。
この企画『SLASH』では、単に2人のアーティストを並べて展示するだけではなく、事前に幾度となくミーティングを重ね、お互いのイメージや意識を深く理解するところから始めていきます。その上で、それでは作品を通して、自分たちは社会にいったい何を提示できるのか、何がおもしろいのか、何が可能であるのかを話し合い、展示プランを決めます。
また、それはDMのデザインにも及び、2人の共通する目的からキーワードを上げ、アートディレクターのCRAFTIVEとともに一つの作品を生み出すように制作されています。
第3回目となる『SLASH - 3』(3/3 - 20)では、2008年の「ART AWARD TOKYO」にてグランプリを受賞した大田黒衣美、高橋コレクション日比谷「neoneo展」をはじめ、渋谷「SUNDAY ISSUE」での個展も控えている谷口真人を連続でお見せします。
大田黒衣美は、板ガムや石膏、ビニールなどの一見アート作品には不釣り合いな素材も取り込んで制作します。例えばブルーシートであれば、「新築の家も包めば、死体も包む」と話しており、その物質が持つ多様性や強さ、逆にその儚さや所在の危うさを丁寧に壊さず抽出するところから始まります。谷口真人の代表作に、絵の具の塊の裏側に描かれた女の子の像を、鏡に反射させて映した作品があります。私たちはそのキャラクターを目にすることはできても、決して触れることができません。それはまるで今の人間の存在感そのものであり、それでも無理やり触れようとする行為が作品となって現れています。
その時代の流行や、1人のアーティスト、キュレーターの視点に委ねるのではなく、自分たち自身でそれぞれが考えを出し合い、自らの手でまず価値をつくっていくことこそが必要であると考えています。個人で完結するのではなく、また勝ち負けではないところで、それぞれの思想が交わること、そこから生まれる想像力の多様性を信じて探っていきます。
是非ともご高覧頂き、表現することの可能性を感じてもらえたら幸いです。
谷口 真人 / Makoto Taniguchi
コーディネーター:結城 加代子 Coordinator : Kayoko Yuki
アートディレクターー:CRAFTIVE Art Director : CRAFTIVE
〒101-0021 東京都千代田区外神田6-11-14-2F 3331 Arts Chiyoda 205