今展のタイトルは、東京の郊外にある、神奈川県の相模原に由来しています。実在する場所、
想像上の景色、そしてフォームの実験との間を行き来しながら、影島の作品は、今日の日本の
郊外における現象を追求していきます。今回の試みの核となるのは、「相模原」と名付けられ
た5つのペインティングです。これらは東京の郊外である相模原、町田、八王子にある、空地
や複合住宅から着想を得て描かれています。
美しくも荒涼としたこれらの作品の中で、影島は郊外環境の矛盾 ‒それは往々にして日常的で
見えにくい- を、絵画への自己完結的なアプローチとして用いています。そこでは、時にはド
ラマティックな「裂けた画面」として異種の景色を混ぜ合わせ、また時には幾何学的な面がラ
ンドスケープを幾つかの色彩フィールドへと分断するかのように、遠近的空間と物語的空間が
共存します。
郊外の平凡さへの慣習化された単純な批評を超え、これらの作品は平凡さの中から絵画の限界
に対する解釈を見出します。それは、表象と抽象が統合を目指さずに共存し合う、新しい種類
の不条理絵画の方法論と言えるかもしれません。
〒106-0044 東京都港区東麻布2-12-4
TEL:03-5571-5844
http://www.takeninagawa.com/