1987年、埼玉県に生まれた平川恒太は、本年3月に多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻を卒業。在学中より多数の個展・グループ展を開催、精力的な活動を展開しています。
2010年には原爆の図 丸木美術館で個展を開催、メディアを通して伝わる世界中の紛争やテロの情報の中で過ごす「平和」に疑問を投げかけました。
「作品番号1、情報における自由と不自由性のために」
2010
キャンバスにアクリル、油彩
91×116cm
本展では「FOXのちから」と題し、マスメディアの真偽性や情報の取捨選択性などをテーマに制作した作品を発表します。FOXとは、動物のキツネとアメリカの4大ネットワークの一つであるフォックス放送の二つを意味します。
フォックス放送は、共和党支持の報道を行い、米国マスコミの最右翼の放送局として知られており、一方動物のキツネは、警戒心が強く、古来より人を化かすと伝えられるなど、野性の象徴とされています。しかし、ロシアの神経細胞学者リュドミラ・ニコラエブナ・トルットによる実験結果では、キツネが人為選択により配合を繰り返すことで、犬のようにしっぽを振り、人間になつく個体を生み出すことに成功。なつきやすさという性質が、自然、あるいは人為的に選択されうることを示しています。平川が描き続けてきたキツネ(FOX)とは現代人そのものであり、それは私達が、飼いならされない野性(個)を持ち続ける事が出来るのかといった命題の象徴として描かれています。
日々与えられる情報を疑わずに信じ、繰り返し真実と主張するものを真実として生きて行くことができれば楽なのかもしれません。しかし人為選択された情報によって、個々が本来持っている「考える」という野性を失いつつあるのではないかという危機感を平川は抱いています。私達は真実を知ることで自由を得られるのか、それとも不自由になるのか。
本展ではメディアと私達の関わりについて問いかけています。
※「キツネ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2011年1月23日 (日)現在
「作品番号5、情報における自由と不自由性のために」
2010
キャンバスにアクリル、油彩
91×116cm
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