安井仲治は、1920年代から1940年代初頭まで、関西を中心に活動をした戦前期の日本写真史を代表する写真家です。日本の写真が、世界的な傾向と同時代性を持って表現されるようになった最初期において、安井仲治は様々な新しい芸術理論を積極的に受け入れ、それらをいかにして当時の日本で展開していくかを極めて深い次元で考えていました。森山大道など現代の重要な写真家にも大きな影響を与えるその軌跡は、写真にとどまらず、近現代の芸術を広く検討していく際にも、とても重要な視点を与えてくれます。同時代の写真家に比べ生前の制作枚数も少なく、現存する作品数も限られる安井仲治ですが、ポートフォリオには、その代表作と言える「流氓ユダヤ」、「山根曲馬団」のシリーズに加え、様々な試みを物語る合計30点のモダン・プリントを収録しています。本展では、収録作品全点の展示を通して、安井仲治の全貌を鮮やかに再現するとともに、その芸術の精選されたエッセンスを紹介いたします。
また、安井仲雄氏にご協力をいただき、安井仲治の死後間もなく刊行されたコロタイプ印刷の作品集『安井仲治写真作品集』(1942年)原本も特別展示いたします。この機会に是非ご高覧ください。
〒600-8325 京都府京都市下京区西側町483番地(西洞院通六条下ル)
TEL:075-353-9807