観察する。このことは千葉正也の絵画作品において重要な位置をしめています。どのような物体を、どのように描くことが鑑賞者にどんな風に働きかけるのか、千葉はこのことを観察するために作品の中に描くモチーフを実際に目の前に置いて制作します。
「タートルズ・ライフ」と名付けられた作品には、作家のペットである亀の水槽の周りに貼られた女性ミュージシャンのポートレイトに囲まれ、彼女をかたどった木彫りの人形が亀の前に置かれている様子が描かれています。そこにはペットへのまなざし、ミュージシャンへの甘い憧れなどのある種ポジティブな印象や、理由もなく強制的に亀に人間のポートレイトを押し付けているその光景の不条理さが漂っています。あるいは「ライオン見物」という作品では木の塊に彫刻をほどこしたものとライオンにまつわる写真を同一平面上に描くことによって、複数の空間が一枚の絵画の中に描かれた奇妙な視覚効果と体験を生み出します。
みずからがテストケースとして徹底的に検証した多種多様な視覚的、あるいは心理的な作用を人間にもたらす千葉特有の方法が作品の特異性の裏づけとなっているのです。
千葉正也は1980年神奈川県生まれ。主な個展に2008年「三ツ境」シュウゴアーツ、主なグループ展に 2009年「Twist and Shout」Bangkok Art and Culture Center、「福武ハウス in 越後妻有アートトリエンナーレ 2009」、「ウィンター・ガーデン:日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開」原美術館、2008年-2010年「ネオテニー・ジャパン-高橋コレクション」鹿児島県霧島アートの森など、2008年「VOCA展」上野の森美術館、2007年「ritual」東京ワンダーサイト渋谷、2006年「4人展」シュウゴアーツなど。シュウゴアーツでの2年ぶり2回目の展覧会となります。
SHUGOARTS
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