1984年長野県に生まれた来海優は、2008年に多摩美術大学絵画学部油画専攻を卒業。在学中より数多くのグループ展に参加し、2010年には3331 Arts Chiyodaのグランドオープン記念展に参加、本展が初の個展となります。
来海にとって興味の対象である動物や仏像、漫画のキャラクターや御伽噺は、それらに対する好意の度合いが増すことで神聖かつ不可侵な存在として崇高なものとなり、聖性を帯び始めます。それらがイメージの中の一つの場所で混ざり合い、融合し、「聖性のるつぼ」状態が生み出されます。
「フルムーン」 2010
キャンバスに油絵具 33.3×24.2cm
人体の一部や動物の一部、または動物そのものが渾然一体となって描かれる来海の作品は、緻密な描写の中に二次元的な表現が織り交ぜられ、現実と非現実の狭間を行き来します。来海の「聖性のるつぼ」から抽出され描かれた少女や動物は、儀式の最中に何かを祈っているようでもあり、また祈りの対象そのものである偶像のようにも見えます。
本展のタイトル「メルティング・ポット」とは、人種や文化などの「るつぼ」を意味しています。本展では、仏教におけるその世界観を可視化するための仏像やお堂をイメージし構成。展示空間をお堂に見立て、人々が聖性を感じることのできる場として、来海の「聖性のるつぼ」を可視化します。
「うそつき」 2010
キャンバスに油絵具 27.3×45.5cm
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