感情を伝える方法、言語が生まれる前に「歌」があった。
ネアンデルタール人のコミュニケーションは、声帯で一連の高音の流れを出しておこなっていたという。
太古の時代のコミュニケーション手段は、大地に、渓谷にと響き渡る声。
電子音を知らない人々のコミュニケーション。
イマドキの感情伝達では ♡ :)!などの絵文字や記号が、感情の抑揚を伝える。
時代とともに、変わるコミュニケーション。
何万年もの長い長い時の流れに消えないものがある。地球上の何処を探しても、歌の無い土地は無い。言葉の通じない土地で知らない人と共に歌う。心のどこかで繋がれたような気分になる。言語は違っていても、、、
心を伝える自然な行為、歌。
誰もが一度は夢を見た、飛ぶという身体的運動を伴って、歌が過去と未来を合体させる。
表情を持つ気球が浮遊しながら、歌う。
新しいものを探そうとすると何か根源的なものにぶつかる。
それを未だ名前のない宙に飛ばす、私はそこに現れる新しい何かが視たい。
登場する人と歌 / ハヴァネス:アルメニアの愛国歌、ドン-イル:韓国の愛の歌、シャーリー:コートジボワールの童謡、かおる:日本の唱歌、アメリカミュージカルソング、カリーナ:ロシアのヨセニンの詩歌、マーク:フランスの童謡替え歌、えい子:日本の演歌、マリアジョゼ:スペインのロルカの詩歌、エマ:フランスの童謡、等。
西村美和
人間の存在について考える上で外す事ができない要素、感情。
その感情というものを明らかにする為に、西村美和は様々な実験的作品を作り出してきました。
東京フォト2010での個展開催や、キヤノン写真新世紀2010での受賞など、これまで写真を使ってその世界を展開させてきた西村。
今回はソニーコンピュータサイエンス研究所とのコラボレーションにより、気球を使ったビデオインスタレーションという新たな表現に挑戦しています。
最新の実験的なテクノロジーによって長時間の自立的な飛行が可能となった、プロジェクターとスピーカーを搭載した小型の気球が、西村の制作した映像を飛行しながら上映します。
多様なバックグラウンドを持った人々が思い思いに歌う姿が、その映像には収められています。
登場する人たちの生き様、歌によって表現される感情、それに対する西村の想い、それらを載せて気球はギャラリー内を浮遊するのです。
〒106-0044 東京都港区東麻布1-4-3 木内第二ビル6F
TEL: 03-6276-0603