渡辺豪(1975年兵庫生まれ)は、近年コンピューター上で作成した3D形体の顔に実存の人物を撮影した皮膚の画像をはりつけ、半透過フィルムにデジタルプリントしたポートレートシリーズのライトボックス作品を発表し、ヒトとモノそのどちらにも属さない領域を感じさせる「境面」を表現し、見る者に強い存在感と印象を与えました。また、今年行われた愛知トリエンナーレのプレイベントとして、愛知県美術館での個展を行い、新作アニメーションを発表して新たな境地を開きました(「現代美術の発見VI 渡辺豪 白い話 黒い話」、愛知県美術館)。
近年では韓国でのメディアシティ・ソウル(2006年 ソウル美術館)、「美麗新世界:当代日本視覚文化」(2007年 北京/広東美術館 広州)、また台湾での「Have You Eaten Yet? -2007 Asian Art Biennial」(2007年 国立台湾美術館、台中)等に参加、アジアで活躍すると共に、昨年はリトアニアでの「ビッグ・イン・ジャパン」展にてポートレートシリーズの新作を発表し話題を集めるなど、国内外で目覚ましい活躍を見せている若手作家です。
待望の第2回目である今回の個展では、室内空間や室内にある身近な物質がモチーフとなり、その表面が織りなす景色が展開される新作アニメーションを中心に発表致します。
コンピューターグラフィックスで作成した3D形体の骨組みに、物の表面の画像を張りつける、あるいは、室内の空間を構成している一部を切り取り解体、表面という単位で変化していく様を、幽暗な色調と静寂さを帯びた緩やかな進度のアニメーションやデジタルプリントの作品で表現しています。
その作品世界は、表面がそれを支える"物質"から離れて自立的に表れることで、物をその物として認識することのできない、意味や配置の定まらない、あるひとつの領域、固有な景色を作り出し、また、ギャラリーの展示空間に多視点的に複数の作品を設置することで、異なる時間や距離が混じり合う景色の展開を試みています。それは、前回の個展「境面」で見せた代表作のポートレートシリーズから離れながらも、作家の意識する共通の境界というテーマへの新しいアプローチであり、私たちの身近にある空間や物に対しての認識、意識を変化させるような体験となることでしょう。
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