この度、NANZUKA UNDERGROUNDは、ベルギー出身の若手アーティスト、リナス・ファンデ・ヴェルデと東京の生んだ奇才五木田智央、香川県出身の佃弘樹によるグループ展を開催致します。
木炭によるハンドドローイングによって多様な主題を描くリナスヴァンデヴェルデは、若干27歳ながら既に40本以上の展覧会をこなすなど、欧州のアートシーンで高い注目を集めている新進気鋭のアーティストです。その作品は、彫刻科出身というキャリアで築いた技術を基に、まさしく塑像するように木炭をフリーハンドで駆使することから生まれます。リナスの作品は、自身で収集した古い雑誌や新聞の切り抜きといった数々の写真を基にするというクラシカルな手法に基づいています。過去と現在、未来を自由に横断して見せるその作品は、私たちの営みの普遍性を捉えます。
五木田智央は、90年代よりイラストレーターとしてキャリアを築き、雑誌やCDジャケットなどのアートワークによってカリスマ的な人気を誇ってきました。近年発表したペインティングによって一躍その才能がアートシーンでも認められるようになりましたが、1980年代に華開いたミュージック、サブカルチャーの影響を色濃く残す五木田の作品は、ハイアートとロウアートの境界を再構築するものとして、多くの若手アーティストに多大な影響を与えています。
平面構成的な抽象表現を得意とする佃弘樹は、光と影、建築と自然、自然認識と錯覚といったテーマを基に風景画を描いています。佃の作品は、黒色のインクと鉛筆、木炭の併用によって生み出されます。直線的な人工物と対比する自然、影に潜む色彩など佃の描き出す世界は、どこか未来的な雰囲気を持ちつつも、私たちの生きている現在の文明社会を鋭く反映しています。
本展は、主にグレースケールの配色を得意とするこの3人のアーティストによるグループ展です。水墨画の世界では古くから「墨に五彩あり」と言われますが、シンプルな色彩と手法で、新たな表現を開拓する事はけっして容易な事ではありません。ここに見る3人のアーティストは、アートの現在において、むしろ新鮮で明快な響きを提示している希有なタレントであると言えるでしょう。
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