安田悠(やすだ ゆう)は1982年香川県生まれ、2007年武蔵野美術大学大学院研究科美術専攻油絵コース修了。現在、東京を拠点に活動している油彩画家です。27歳の若手ですが、2007年に卒展で展示された作品が「ART AWARD TOKYO」(行幸地下ギャラリー、 東京)の出展作品として推薦され、早い段階から注目を浴びています。同年の「トーキョーワンダーウォール公募2008」ではトーキョーワンダーウォール賞を受賞し、翌年2008年には東京都庁で個展「TOKYO WONDER WALL都庁2007 境界でゆれる展」を開催しています。また、2008年に「VOCA展2008」(上野の森美術館、 東京)、2009年には「トヨタアートコレクション」(鞍ヶ池アートサロン、 豊田)に参加しています。
今回の展覧会「面影の向こう」は、YUKA CONTEMPORARYでの初展示となり、作家にとっては2008年以来、2年ぶりの個展となります。
作品について
独特のタッチと色彩で幻想的な風景を描き続けている安田悠は「時間と空間の歪みからなるものを見てみたい」と言います。作家の目に映る日常の風景は一旦記憶の奥底に仕舞い込まれ、時間のプロセスを通して「曖昧に」表現することで「時間と空間が行き来する」独自の世界観を表現します。この行為を通して作家は、現実と非現実の境界に存在する時間と空間を探り、記憶によって心に思い浮かべる風景を、独特の色彩と抑揚のあるマチエールに彩られた水辺、森、星空などが揺れながら重なり合う風景として描きます。
タイトルにもなっている「面影」という言葉には「まぼろし」「幻影」という意味を含みます。「何の物語性もない、白昼夢にも似た空想の時間を永遠の一瞬として留める」と作家が表現するこれらの幻想的な光景は、心地良い浮遊感とともにどこか懐しく温かい、遠い記憶が呼び起こされるような感覚を鑑賞者にもたらすことでしょう。
本展では新作を約10点ほど展示する予定です。2年振りとなる個展で展開される安田悠の世界観に是非御期待ください。
作家ステイトメント
時間と空間の歪みからなるものを見てみたい。
そのときあったはずのものが消失し、
なかったものが出現することで
そこには想定しえない歪んだ空間が生まれ、
別の新たな時間が流れる。
不確かに存在するそれらを
記憶や知覚を通して視覚的に捉えたい。
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